−−今回の楽曲を制作するにあたって、気をつけたことを教えてください。
KOTOKO 作品の雰囲気やカラーが、とても優しく美しく繊細な感じがしたのでそのイメージを大切にしました。作詞の際もそれを頭に置いていましたし、歌もなるべくおしとやかに歌ってみました。それから、異国(フランス)と日本のイメージ両方がいい具合に混ざり合っていて独特な印象を受けたので、それを歌詞でも再現できるように頑張りました。
井内 文字通り、異国情緒が出るように、且つ、コテコテの異国にならないようにいい具合に間をとりたいなぁ、と思いながら作りました。
−−今回の楽曲への思い入れや、制作時のエピソードなどがありましたら教えてください。
KOTOKO メーカー様からのご要望で歌詞中にいくつかフランス語を入れてくださいということだったのですが、フランス語の知識が全くありませんでしたので、大変苦労しました。フランス語辞書、英語辞書、ネットなどを駆使してなんとか書き上げました。意味も通ってメロディにも乗って・・・という言葉を探すのは熟知している日本語でも大変なのに、全く解らない国の言葉となると、かなり厳しかったですね〜。初めは発音も解りませんでしたから本当に大変でした。。。いろいろ調べて、歌う時はなるべく本物に近いように・・・と頑張ったのですが、上手くいっているでしょうか?(^^;) でも初めて挑戦した割には上手く言ったと思うので、フランス語コーラスの部分にはかなり思い入れがあります。これを期に、フランス語も勉強しようかな?なんて思ったほどです(笑)
井内 実は、曲のオケが出来上がるにつれて、だんだんいつもの自分のアレンジじゃないような気がしてきて、「これはなんだか、ものすごく高瀬さんっぽい!お願い高瀬さん乗り移って!」と切に願いつつ、作りきりました。「そんなことない」と言われそうですけど(^^;
−−コミック作品『異国迷路のクロワーゼ』を読んで、感想を教えてください。
KOTOKO まず絵がすごく好みで、はっきり言って湯音ちゃん萌えです!!(笑) 「も〜可愛い〜〜」って一瞬で惚れちゃいました! 着物や骨董品の描写もとても細かく奇麗で、絵だけでも十分楽しめました。それに加え、少女が一人異国で暮らすことになり揺れ動きながら進んでいく心の描写なども繊細で巧いな〜と思いましたし、自分が同じ状況に置かれたらどうだろう?と思うと、とても人ごととは思えず、知らず知らず湯音ちゃんを応援してしまう自分が居ました。お互いの文化や価値観の違いに戸惑いながらも次第に心を通わせていく湯音ちゃんとクロード様の様子にも共感できましたし、一見冷たく見えて実は優しいクロード様も素敵で、二人と一緒に異国で暮らしてみたくなってしまいました。
−−詞を書かれる時にはどのようなイメージを思い浮かべましたか。
KOTOKO 自分自身が湯音ちゃんになった気持ちで書きました。期待と不安が入り交じる異国の空の下、出会いの中で何かを掴み、どんどん強くなっていけたら良いな・・・、そして母国を離れた時に抱いていた夢が叶うよう、次々と扉の鍵を開けていく。繊細な異国の情景をちりばめた中にも、そんな少女の強い意志をイメージし書いてみました。それから、湯音ちゃんを通じて描かれている日本人女性の持つ奥ゆかしさやいじらしさも織り交ぜてみました。
−−詞中に多くある印象強い文言、例えば
・見上げた異国の空へ 玉響(たまゆら)小さく祈り
・見つけたの 抱き締めるような空の色を
・育てあってゆけるように 見失って違(たが)わぬよう
など、心に響く文言は何からインスピレーションを受けているのでしょうか。
KOTOKO 全て気に入っている箇所なので、心に響くと言っていただけて大変嬉しいです! 『見上げた異国の空へ 玉響(たまゆら)小さく祈り』の部分は、曲を聴いた時に「これしかない!」と思いついたフレーズです。『玉響』は、いつか歌詞に使いたいと思っていた言葉で、今回の日本女性の奥ゆかしさを描いたこの作品にはぴったりだと即決しました。フランス語も良いですが、日本語って本当に美しい響きを持ったものが多いんですよね。
『見つけたの 抱き締めるような空の色を』は、私が外国に行った時に感じた印象です。外国の空はとりわけ大きく感じ、自分がとても小さく弱く場違いな存在に思えてしまいます。けれどまたそんな自分を何も言わず包んでくれる空・・・。そんな大きさと暖かさをクロード様の中に感じました。
『育てあってゆけるように 見失って違(たが)わぬよう』については、普段私が感じている人間関係において重要だと考えていることです。それがこの物語ではとても上手く表現されていて、強く共感できたのでこのフレーズが生まれました。自分が普段考えている思いなどと作品のもつ感情がぴたっと重なった時、自分でも「よし!」と納得できるフレーズが浮かんでくるようですね。
−−タイトルや詞中に「鍵」という言葉が使われていますが、これはどこからイメージを膨らませて=「鍵」という文言に至ったのでしょうか。
KOTOKO まず、フランス語で歌詞に使えそうな言葉を探していて見つけたものの 一つに『la clef=鍵』という言葉がありました。異国という舞台から骨董品によくある鍵付きの重厚な宝箱や鉄細工の扉のイメージがあり、未知の世界へ飛び込むこと・・・この物語では異国へたった一人で移り住み見知らぬ人と暮らすことや、そこで起こる出来事や人々のと出会いはまるで、しっかりと鍵のかかった宝箱を一つ一つ開けていくことのようだなと思ったのです。人生において一歩踏み出すとき期待と不安は、見知らぬ扉の鍵をまわす時のそれとそっくりですよね。そんな思いもあり、もともと響きがいいのでどこかに使おうと思っていた『la clef=鍵』という言葉をタイトルに、そして歌詞中で文字通り『鍵』になる単語として使うことにしました。
−−「La clef 〜迷宮の鍵〜」で気に入っている部分、読者のみさなんに一番聞いて欲しいフレーズなどありましたら、教えてください。
KOTOKO 『見上げた異国の空へ 玉響(たまゆら)小さく祈り大きく開く胸へ一歩ずつ近付きたくて』
このフレーズに物語から感じた全てが凝縮されています。異国と日本の出会いと、それにより生まれる心の揺らぎ、さらには心を通わそうとする強い思いを歌で感じでもらえたら嬉しいです。あとは、頑張ったフランス語も・・・(笑)
−−詞中には多く、前向きさ・希望を感じさせる印象があります。ヒロイン[湯音(ユネ)]に一言、声をかけてあげてください。
KOTOKO 湯音ちゃんはか弱いように見えて、実はとっても強い女の子。きっとあなたの思い描く国境を越えた何かが見つかるはず。優しさは万国共通って、一人でも多くの人に伝わると良いね! がんばれ〜〜!!
−−作詞の為に、普段から意識している事はありますか。
KOTOKO 例えば、沢山の本を読むようにしているとか、色々なジャンルの音楽を聴くようにしているとか…。本を読むことや映画を見ることなどは欠かさないようにしています。常に心を揺らしてあげること、小さなことにも感動したり、自分なりの考えを持つことは、作詞の上でも大切だと思っています。あと、普段起こったことでも気持ちが揺らいだ出来事は、すぐに書き留めるようにしています。
それから、意識してやっているのではないのですが、日常の風景などで印象的な一瞬がまるで写真を取ったように心に残ったりします。作詞にはイメージが大きく関わりますから、普段のそういった一瞬の絵も大切な宝物と思って生活しています。
−−ご自身の音楽活動において、影響を受けた作品などはありますか (音楽だけにかぎらず、漫画や映画や小説など)
KOTOKO もともと歌好きでアイドル歌手志望だった私を作品作りへと駆り立ててくれたのは『スピッツ』と『ビョーク』です。両者とも他には無い独自の世界観をもっているアーティストで、音楽性・生き方の両方で尊敬しています。彼らの音楽を聴いた時、私も自分で何か表現したいと思い、「まだ遅くない!」と本格的に作詞作曲を始めました。
先ほど印象的な一瞬が写真のよう記憶に残るとお話ししましたが、写真を見るのも撮るのも好きで、将来は空を撮るカメラマンになりたいと思っているほどなのです。ですから私の詩には『空』や『風』など自然に関わりの深いものが多くあります。そんな私のバイブル的存在が『空の名前/高橋健司:著』『宙ノ名前/林完次:著』という2冊の写真集です。この写真集にあるような空を見上げているだけで、いろんな気持ちが溢れてきてどんどん詩が生まれてきます。人も自然の中の一片なのだという思いが、私の音楽の核。その中で言葉を話し音楽というものを与えられ、それを生業として生きていけることに最高の感謝と喜びを感じています。これからもこの思いを糧に音楽活動をしていくと思います。
−−作曲をされる時にはどのようなイメージを思い浮かべましたか。
竹内 イメージというか、この曲は丁度3月くらいに作っていて、大阪はもうかなりあったかくて、「あ〜、春だなぁ」とか、「仕事部屋の窓から見える桜はいつ頃咲きそろうのかなぁ。お花見行きたいなぁ。」とか、ポヤポヤ思いながら作っておりました。なので、私の中ではこの曲は「桜を待つ」イメージです(^^)